8.9月に読んだ本
8.9月までに読んだ本。7月のもあるかもしれませんが最初なので許してね。
どうも女王様には読書ブームの時とそうでない時があって、何週間もまったく読まなかったり
毎日1冊以上読みまくったりしてます。
逃避行 篠田節子 | 7.2カラット |
大好きな篠田節子の新作!図書館で予約を辛抱強く待ちました。 隣の馬鹿息子をかみ殺してしまった愛犬の「ポポ」(ゴールデンレトリバー)と普通の主婦が世間の目を逃れて逃げるお話。 篠田作品としては小粒でした。でも犬馬鹿な私はポポの気持ち、主婦の気持ちが痛いほどわかって涙が出ました。ポポが悲しい目で主人公を見上げるその目や、雨にぬれて汚れた被毛や、そんな情景がありありと手にとるように浮かんでしまい心が痛みます。ゴールデンの表現がとても細かくて正確。篠田節子は犬飼ってたっけ?と思いましたがどうでしょう?凄く良くワンコの様子が描けています。どこかの書評で犬についての記述が多すぎてよくわからないと言うようなことが書いてあったけど、飼ってない人にとってはそうかも。そもそもこの主婦の気持ちがわからないかも。 読み終わってからアポロをひしと抱きしめて「アポロ〜。どこまでも一緒に逃げようね。地の果てまでいくからね」と言いました。犬飼いのあなたも読んだ後必ずそう言うこと間違いなし! ちなみに、篠田節子の私のベスト1は「弥勒」 |
誰か 宮部みゆき | 6.4カラット |
宮部みゆきも好きな作家の一人。 わりとさわやか系で、さらっと読めます。まあ、「模倣犯」や「理由」や「クロスファイア」などに比べると軽いというかさっぱりしてるというか。つまり私は重めの方が好きって事なんだけどね。 ミステリーとしては良く出来てます。ちょっと不満なのは主人公の男性のインパクトのなさ。まあ、この人は直接事件にかかわるわけでなくて、謎を解く人なのでいいのかもしれませんが。でもこういう人多い気がする。特に女流作家の書く男性主人公に多いよね。何となくインパクトの薄いあまり男臭くないタイプの主人公。細身で1.5流大学出な感じで、あまり野心や欲望の無い人。やや細身。たまには、デブやハゲやアブラギッシュな感じの主人公がいてもいいんじゃないかな?だって世の中にはそういう人のほうが多いじゃん。 んでもって、逆に男性作家の書く女性主人公もしくは男性主人公の一番身近に居る女の子も似てるタイプが多い!ほっそりしてて、ナチュラル系。ショートカットかポニーテールで首が細くてメイクが薄い、もしくはノーメーク。少年のような瞳をしているのだ。ってそんな女実際にはいねーよ。たまには巨乳でお色気ぷんぷんとか小太りなおばさんとか、逆にすげー美人とかそういうインパクトのある人を主人公にして欲しいわ。 って、これじゃあ「誰か」の感想になってないって?? いや、良くできたミステリーだったよ。うん。 |
イニシエーションラブ 乾くるみ | 5.1カラット |
王様の「結構面白かったよ」につられて読みました。 王様の台詞や、帯の文から「どんでん返しもの」とわかって読んでいたくせに鈍い女王様には最後までトリックがわかりませんでした。っつうか、最後まで読んでも「???」で王様に教えてもらいました。情けない。。。でも、トリック自体はとっても良く出来てます。「やられた!」って感じ。確かに帯の文どおりもう一回よみたくなるなる。 しかし!そこに到達するまでは「すげーぬるい恋愛小説」なんだよね。ティーンエイジャー向けか?とつっこみを入れたくなる感じの。本当に力量があるならフィニッシュに至るまでの過程も「読ませる」ものにして欲しいな。これでどんでん返しが納得いかないものだったら、わたしゃちゃぶ台ひっくり返してたよ。 |
好きよ 柴田よしき | 6.7カラット |
好きな作家ベスト5に入るであろう柴田よしき。やはりなかなか読み応えのある作品でございました。柴田よしきの作品はミステリーというか、オカルト、ホラー、SFの要素も多分に含んでいるものが多いのでそういうのが駄目な人にはお勧めできません。 「好きよ」という一言を遺書に残して自殺してしまった友人。彼女は誰に向けてこの一言を言ったのか?主人公に恨みがあるのか??そして主人公に忍び寄る怪しい男の正体は? 柴田よしきの良さは色々あるけれど、登場人物が決してキレイではない事。 人間臭いというか、どろどろしてるというか。同性愛があっちにもこっちにも出てくるし。そこに超能力だとか、異形の者たちとか出てくるのでもう濃い濃い。 「さわやかな読後感」は期待できないけど、こってり系の読み応えです。 ちなみに私のナンバーワンはやっぱり「RIKO」シリーズ。「炎都」シリーズも捨てがたいけど。 |
図書室の神様 瀬尾まいこ | 6.7カラット |
瀬尾まいこの作品は「卵の緒」に続いて2作品目です。 少々センチメンタルな内容ですが、でも大人の心をキュッとつかみます。 高校時代にバレーボールのチームメイトの自殺の原因を作ってしまった主人公の女性。その心のとげを抱えたまま大人になり、非常勤の教師になります。 恋人、生徒、弟とのちょっと不器用な人間関係がちょっと切なくてやさしい物語です。本当ならどろどろになりそうな不倫の恋もなんとなくほんのり悲しいやさしい恋です。そんなのある訳無いじゃんといわないように。小説だから。 身内に教師を持つ身としては「おいおい、そんないいかげんな気持ちで教師になるな」といいたくなりますが、まあ、それは人それぞれだし、小説だしね。 読後感もさわやかでお勧めの一冊。 |
手紙 東野圭吾 | 7.8カラット |
東野圭吾は相変わらず胸を打たれます。 強盗殺人を犯し服役中の兄を持つ弟の苦悩、その人生、兄の人生。 どうしようもない重荷を肩に背負ったまま、何度も何度も傷つき立ち上がりまた傷つけられる彼の苦悩は涙なくしては読めません。 今、事件が起こると「加害者の家族の人権」「加害者の少年の人権」とよく言われますが、この作品の登場人物である「社長」の言葉には考えさせられるものがあります。加害者の家族が差別されるのは当たり前でそれも含めて加害者の罪なのであると。さあ、どうなのでしょう?難しい問題です。 東野圭吾の作品は決してさわやかな読後感ではありませんが、いつも感動させ、考えさせてくれます。 |
燃える地の果てに 逢坂剛 | 7.3カラット |
「カディスの赤い星」が面白かったもんで、続けて読んでみました。 これも、同じくスペイン、ギター製作家が絡んでくるお話。 前作と違うのは、過去と現在が並行して物語が進行していくところ。 イギリスか来日した女性ギタリストが日本でフラメンコバーを営む男性とともに「エルビエント」のギターを探しにスペインへ旅立つ。 そして30年前スペインの田舎の寒村に落ちた米軍の核弾頭。見つからない一基はどこに消えたのか?スパイは一体誰なのか? 終始緊張感に包まれながらものすごい迫力でラストまで持っていく逢坂剛の力量は計り知れない。 もちろん、ラストには「そう来たか!!」の結末が待ち受けている。「カディス」と甲乙つけがたいけど、愛の美しさにこちらに軍配を挙げよう。 これを期に逢坂剛を色々あさってみようと思った私でした。 |
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